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4. 2020年のノーベル物理学賞はブラックホールの研究に

2020年のノーベル物理学賞はブラックホールに関するものです。受賞者は、イギリスのオックスフォード大学のロジャー・ペンローズさんとドイツのマックスプランク地球外物理学研究所のラインハルト・ゲンツェルさん、アメリカカルフォルニア大学のアンドレア・ゲッズさんです。ペンローズは、ブラックホールについての基礎的な物理学研究が評価されました。ゲンツェルとゲッズは、私たちの銀河の中心にある巨大ブラックホールの存在を先駆的に示す研究が評価されました。

ノーベル賞を授与されたペンロースの代表的な研究は、十分大きな質量の物質が自分の重力によって収縮することができる時にブラックホールにならざるを得ないことを共同研究者であるホーキンスとともに示したことなどがあります。もしホーキンスが生きていればペンローズとともにノーベル賞を受けたでしょう。

ゲンツェルとゲッズの研究は我々の銀河の中心に巨大なブラックホールが存在する証拠を見つけた研究です。ゲンツェル達の方法は巨大なブラックホールが存在すると予想される銀河中心(約2万4千光年)の方向のごく狭い領域(30光年程度)内の恒星の位置を数年の間観測し続けてその位置の時間変化を観測するというものです。その恒星の位置の変化の結果から、その領域の恒星を全て足し合わせても説明できない大きな質量(太陽の4百万倍)がその領域内のさらにごく狭い領域に存在する証拠を見出したものです。非常に小さな領域内に膨大な質量が存在することは、それがブラックホール以外では説明できないのです。(執筆中)