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電磁気学の演習書:演習しよう

演習しようという、ちょっと変わった演習書を書きました。評判は悪くないのですが、ミスプリが結構あるという指摘をいただいています。著者としては反省しています。また、よくわからなかった学部の講義を理解することができ、大学院入試に役立ったという関西のある国立大の学生の評価もいただきました。これは著者としてこの本の狙いだったので、とても嬉しい評価です。

この本の対象は、物理学科あるいは専門的な物理学を学ぶ学部の2−3年生で、講義の電磁気学は難しく、専門レベルの教科書も難しいと感じる普通の学生です。実は、僕自身もそうだったので、こうした学生が戸惑いがちなことを念頭に置いて書きました。電磁気学の各テーマをMaxwell方程式を理解するという立場でまとめてあります。講義や教科書を読んだ後で、このまとめを読むとすっきりと整理できるようにと書きました。また、かなり初歩的なことから演習問題としていますので、電磁気学を具体的に理解するときに役立つと思います。正誤表のリンク(改訂版2019/08 list-of-errata-EM)です。これを作成するにあたり熱心な読者の方から、ご協力をいただきました。ありがとうございます。この場を借りて感謝します。

この本は、北大の物理学科で講義と演習を同時に担当したときに、これまで「比較的難しい問題を解くための演習」という位置づけを、「講義を理解するための演習」に内容を変更して、問題を作成し直した時の経験に基づいています。そのとき、演習に協力してくれた当時の修士課程の大学院生に、本書の執筆にも協力してもらっています。また、今から当時を振り返ると、本書を執筆中に、家族の中に回復の見通しの立たない病人がいたことが負担になっていたのか、それが原因で簡単なミスプリを見逃してしまったと思っています。ありがたいことに、この病気に関しては思いもかけないきっかけで回復することができました。

とにかく、この本が電磁気を専門的に学びたいが難しいと困難を感じている学生の、役に立てれば幸いです。