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Date:  Thu, 16 Sep 1999 08:50:30 +0900
From:  Habe <habe@astro1.phys.hokudai.ac.jp>
Subject:  [view 00087] Fwd:[reform:02094] 千葉大学文学部声明について
To:  view@astro1.phys.hokudai.ac.jp (view ML)	, view
Message-Id:  <19990916085028.Postino-027433@astro1.phys.hokudai.ac.jp>
Posted:  Thu, 16 Sep 1999 08:50:28 +0900
X-Mail-Count: 00087

reform の皆様

  小沢弘明(千葉大学文学部)です。千葉大学文学部の声明の反響
が各所で広がっているようで、起草した者の一人としてうれしく
思います。

  こうした見解をまとめようという話しは、実は昨年末からあり
ました。しかし、1)独立行政法人化に積極面があるのではないか、
2)反対の見解を表明すると不利益をこうむるのではないか(特に
学部・大学院改革に影響するのではないか)、3)文部省も国大協
も反対しているのだし、悪いようにはならないだろう、4)行政改
革の趨勢の中で国立大学だけが効率化を免れることはできないの
ではないか、など、おそらく現在でも存在する(反対することへ
の)多くの消極論(と若干の法人化推進論)が存在していました。

  たまたま、4月に私が将来構想委員に選出されたことを契機と
して、次のような考えをまとめていきました。

  1)とにかくあらゆる情報を将来構想委員会や教授会で配布する。
  2)法人化に積極面を見出す考え方に対しては、ニュージーラン
    ドの民営化、工業技術院の状況、美術館、博物館の現状など
    実際にその方向に誘導された諸機関の状況を伝えた。
  3)部局単位の不利益を恐れる向きには、各大学でそのような形
    でいかに分断が進められているか、これも資料を添えたり、
    独自に情報を収集して説明した。疑心暗鬼になるのは情報が
    少ないからです。
  4)文部省、国大協の状況についても、状況の変化に応じて持っ
    ているすべての情報を開示した(松尾レポート他)。
  5)行政改革云々の議論に対しては、この問題が大学改革の脈絡
    から出たものではないこと、グローバルスタンダード論はま
    やかしであること、量的な数値目標は基礎研究を阻害するこ
    と、などを説明した。
  6)むしろ大学改革の理念を積極的に提示すること、21世紀の高
    等教育はどうあるべきか、という問題を考えることが現在最
    も求められている論点であることを訴えた。この点ではこの
    reformでの議論やユネスコの勧告の資料等が役立ちました。
  7)そして、決定的だったのは藤田論文批判と通則法批判でした。
    文学部でも藤田論文が配布されましたが、その内容上の問題
    点を批判し、通則法で描かれる大学像批判の文書を作りまし
    た。これにはジュリストの山本論文、東大職組の複数のレポー
    トを参考にしました。どのような立場を取っても、通則法プ
    ラス個別法の路線では破綻することを納得してもらうように
    しました。

  以上の点を、独立行政法人化検討小委員会で議論を積み重ね、
理念的な声明部分とそれを裏付ける情勢分析を委員間で分担して
作成し、将来構想委員会に報告しました。それが教授会で報告さ
れることになったわけです。
  7月22日の教授会には、実は私自身は集中講義のために出席で
きませんでしたが、将来構想委員会の報告をもとにして説明が
行われ、特に法人化推進論の立場からの反論はありませんでした。
その後、私自身は首都圏ネットワークの方に関わるようになりま
したので、声明はそのままになっていましたが、8月末に情勢の
変化を受けて、文学部長から、「この段階で声明を公表しておい
たほうがいいのでは」と言われ、ウェブページに掲載することに
なりました。
  この一連の過程では、学部長や学部選出の評議員の理解を得る
ことができたのが公表を可能にした要因の一つです。
  具体的には、ウェブページの声明の中のリンクをたどっていた
だければ、声明を裏付ける報告の概要を見ていただけます。
  もとより、これで終わりになったわけではなく、たとえ通則法
プラス個別法に支持がえられないということになっても、次には
おそらく特例法の路線で圧力が強まると思われます。その時にも、
圧倒的な情報量で議論をリードしていくことが必要となるでしょ
う。自己の部局のみがスケープゴートになることの恐れは、なお
根強いものがあります。しかし、ことは高等教育の理念に関わる
ことなのだという共通認識を教授会ではかろうじて持てていると
判断しています。
  最後に、他の教授会でも議論が深化することを期待しています。

  下記に声明のURLを記しますが、必要でしたら、別個にテキスト
を投稿します。

http://www.l.chiba-u.ac.jp/jp/agency.html

-- 
小沢 弘明 Hiroaki Ozawa
 ozawa@bun.l.chiba-u.ac.jp
 h-ozawa@t3.rim.or.jp





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