銀河における星間物質と星生成活動に関する観測的研究

銀河の中で星はどのように生成されるのでしょうか? 銀河の中で,どこでどのようにして星が生成されるのかということを明らかにするために,星が生まれるもとになる低温の分子ガスの分布,運動,性質をミリ波(電波)帯の分子の放射するスペクトル線の撮像観測から探っています.

様々な視点から見たNGC3627

棒渦巻銀河NGC 3627の低温ガス.(a) 水素原子の分布.(b) 一酸化炭素分子 (12CO) の分布.(c) 一酸化炭素分子の視線速度場.(d) 一酸化炭素分子の速度分散.(e) 一酸化炭素分子 (13CO) の分布.(This work made use of THINGS, ‘The HI Nearby Galaxy Survey’ (Walter et al. 2008). This publication made use of data from COMING, CO Multi-line Imaging of Nearby Galaxies, a legacy project of the Nobeyama 45-m radio telescope (Sorai et al. 2019).)

近傍銀河の大規模分子ガス撮像観測プロジェクトCOMING

銀河全体にわたる分子ガスの撮像観測は,可視光の写真などに比べるとはるかに少なく,銀河ごとの個体差と進化段階の違いなどを切り分けるのが難しいのが実情です.そこで,多数の銀河について電波写真を撮ることでこの切り分けをはっきりさせることを目指し,国立天文台野辺山宇宙電波観測所45 m電波望遠鏡の大学主導レガシープロジェクト「近傍銀河の分子ガスの大規模探査観測(CO Multi-line Imaging of Nearby Galaxies, COMING)」を国立天文台,筑波大学,大阪府立大学,鹿児島大学,関西学院大学,名古屋大学等と共同で実施しました.

COMINGのホームページ
COMINGで観測された銀河

銀河の形態と進化

銀河はさまざまな形をしていますが,どのようにしてそのような形になっているのでしょうか? 銀河の形態と質量,その他の性質との関係から銀河の形態発現の要因を調べるために,赤外線衛星のアーカイブデータ等を利用した研究を進めています.

銀河の形態

赤外線衛星WISEで撮られた画像.(This image makes use of data products from the Wide-field Infrared Survey Explorer, which is a joint project of the University of California, Los Angeles, and the Jet Propulsion Laboratory/California Institute of Technology, funded by the National Aeronautics and Space Administration.)

電波及び可視域の観測装置・観測システムの製作

 

南極テラヘルツ望遠鏡の開発

南極30cm望遠鏡

南極30cm望遠鏡

サブミリ波・テラヘルツ波は大気中の水蒸気ができるだけ少ない場所,つまり寒冷地で且つ降雪量の少ない場所で観測する必要があります.地上でこの条件を究極に満たすのが南極大陸の内陸部です.現在,筑波大学・関西学院大学が中心となり,南極大陸内陸部にサブミリ波・テラヘルツ波を受信する望遠鏡を建設する計画を進めています.私たちは,苫小牧11 m電波望遠鏡(次項参照)の整備・運用で培ってきた経験を活かして,計画に参加しています.

苫小牧11m電波望遠鏡(終了しました)

測地観測専用の超長基線干渉計(VLBI)素子アンテナを電波望遠鏡に改修し,銀河系内の星生成領域の高密度分子ガスのアンモニア分子のスペクトル線探査,大質量星形成領域の水蒸気メーザーの時変動モニター観測,超高光度赤外線銀河の銀河核探査などを行いました.2001年に当時の通信総合研究所から譲渡していただき,国立天文台と共同で苫小牧研究林内に移設し,多数の学生が輩出しました.望遠鏡・装置の老朽化のために,運用を停止しました.

苫小牧11m望遠鏡

往年の苫小牧11m望遠鏡