「山の天気」

 
 言うまでもないが山の天気は変り易い。スノボに行く時は要注意である。スキーに行くときだって要注意だ。それから、遭難して助けてもらった時には「助けてくれと頼んだ覚えはない(by 某北大生)」などとほざいてはいけない。世間の反感を買うこと間違いなしだ。

 うちの大学には、スキーバスという良く分からない行事があった。今でもあるのかもしれない。要するに、スキーにバスで行くだけなのだが・・。で、その行事に友達に誘われたとか料金が安いなどという理由で僕も参加した。

 学生が集まると当然宴会が始まる。1日目の夜も当然のように我々は飲んでいた。といっても、スキーが目的で来てるのである。飲みつぶれては仕方が無い。そんな理由で、僕は飲んでる振りをしながらもほとんど飲まずに他人に飲ませることに集中していた。ほどなくして、僕の正面に座っていた女性がつぶれた。この人はその後、熱を出して、宿泊期間中のほとんどを部屋で過ごすと言う怠惰な生活を送ることになる。つまらないので、隣に座った友人にがんがんお酒を飲ませ出した。飲ませると言っても、僕が烏龍茶をお酒のように飲んだり、水を足し過ぎてほとんど100%水になってしまった「水割り」と呼ばれるものをハイペースで飲むのに、向こうが勝手につられていただけなのだが・・・。そんなこんなで、眠る頃には、大多数が酔ってふらふらになっていた。

 翌日の朝、僕は当然のように早起きしてさっさと滑りに出かけた。だってこっちが目的なのだ。しかし、隣に座っていた友人は二日酔いのようだ。かわいそ。「お昼の写真撮影には行くから先に行っていてくれ」などと弱音を吐いている。そーそー、写真撮影なんていう無意味なことをしなきゃいけないのも、この手の行事の難点である。ま、僕は彼を置いて先にゲレンデへ出かけた。

 で、写真撮影である。彼は妙にすっきりした顔で現れた。

   「いやーゴンドラの中で気持ちわるくなっちゃってさ〜」

気持ち悪くなってどうしたのだ?

   「ゴンドラの小さな窓を開けて吐いちゃったよ。」

おいおい・・

   「一緒に乗っていた人にやなかおされちゃってさぁ〜」

そりゃそうだ。

   「で、他の人のスキーにもちょっとかかちゃったんだよね。」

それは酷い・・ところで、そこはコースの上だったのか?

   「・・そんな気がする・・」

ま、山の天気はかわりやすから♪

   「それもそうだな。」
 

 そのあと、疑惑のコースを滑ってみると真っ白な雪面に見事に嘔吐物がぶちまけられていてとってもカラフル。その時滑っていた人はさぞ驚いたことであろう。
 


その日の天気
晴れ時々雪・ところにより一時ゲロ


 



モドル

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