「筋肉オーケストラ」

以前、変な夢を見た。

僕は食堂のようなところで新聞を読んでいるのだがその新聞の中に、”チェコの筋肉オーケストラ来日”と言う記事があったのだ。その記事には写真も付いていて、タクトをもった指揮者の向こうに、マッチョマンの海が広がっていた。
・・・

当然、「筋肉で演奏なんて出来るんだろうか?そもそも音なんて鳴らないのでは?」という、疑惑が僕の胸に・・・ 当然だ。当然すぎる疑問である。音なんて出ても、せいぜい 肩が凝ってる時の「ぽき」という情けない音が関の山だ。オーケストラなんて立派な名前にそぐわない。 

その疑問が思わず口から漏れてしまったのだろう。僕の背後から「音は鳴るよ」と、自信にあふれた声がかけられた。振り向くと後ろには、「にかっ」と笑顔を貼りつけたシュワルツェネッガーが・・。ボディービルダーが浮かべるあの笑顔である。シンクロの選手や、エアロビのインストラクターが貼りつけているあの笑顔である こわい・・。そんな僕の心をよそに、彼は無造作にその丸太のような腕を僕の耳に押し付けてきた。そして、彼は力を込める。「ぎゅぅぅ」立て付けの悪い扉を開いたような音がその力こぶからもれた。「ね?」、そう言うと彼は登場した時と同じ笑顔を貼りつけたまま去っていった。


モドル

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