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Date:  Wed, 1 Dec 1999 20:23:54 +0900
From:  Habe <habe@phys.hokudai.ac.jp>
Subject:  [view 000325] Fwd:[reform:02414] 首都圏ネット、 12.1  緊急声明を発表
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he-forumから転載します。
              12月1日 大学改革情報ネットワーク

 [he-forum 428] 首都圏ネット、12.1緊急声明を発表

佐々木(首都圏ネット事務局長)です。

 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局は12月1日付で、下記
のとおり緊急声明を発表しましたので、お知らせいたします。
 また資料として首都圏ネットが11月17日に国大協総会に宛てた要望
書を再掲いたします。

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緊急声明
「第1常置委員会アンケート」=「特例措置1月政治決着」への準備を
各大学学長は拒否すべきである

            1999年12月1日
            独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局 

1.「第1常置委員会アンケート」は「特例措置1月政治決着」強行のた
めに仕組まれたスケジュールの一環

 国立大学協会(国大協)第1常置委員会は、各大学長に対して、“国
立大学の独立行政法人化が行われる事態になった場合、大学の特性
からどうしても譲歩できない点を2点程に絞り、12月2日頃までに提出
するよう依頼文書(以下、「第1常置委員会アンケート」と略す)を発送し
た。このアンケートは12月上旬に開かれる第1常置委員会で意見集約
として整理されることになっている。
 しかし、これは現時点での意見分布を調べるというような単純なもの
ではない。12月17日頃に行われる国大協執行部と文部省との特例措置
に関する協議、来年1月のセンター試験直後に開催される国大協臨時
総会、というスケジュールが既に設定されていることをみれば、この「第1
常置委員会アンケート」の実施が、“特例措置等の具体的な方向につ
いて、国立大学協会をはじめ関係者の意見を聴きながら検討を進め、平
成12年度のできるだけ早い時期までには結論を得たい”(11月18日国
立大学長懇談会における佐々木文部省高等教育局長)という文部省ス
ケジュールにあわせたものであることは明白であろう。即ち、これは文部
省とタイアップして早期に特例措置問題での妥協を図ろうとする国大協
執行部の「1月政治決着路線」の一環なのである。 

2.「第1常置委員会アンケート」は何をもたらすか 

 そもそもこの「第1常置委員会アンケート」なるものの実施は、各大学さら
には全国理学部長会議のような大学横断組織から出されている独
立行政法人化への反対・疑念・懸念の声、6月と11月の2度にわたる国
大協定期総会と9月の臨時総会での議論の流れから見て、明らかに異常
である。周知のように、この間、提出された議論は、独立行政法人の根
本に関わる問題である。11月定例総会においても“国立大学の独立行政
法人化が行われる事態になった場合、大学の特性からどうしても譲歩で
きない点は何か”というような「条件闘争」の議論がなされている訳で
はないにもかかわらず、総会後になって突然、しかも依頼後わずか1週
間で回答せよという依頼がなされている。しかも、各大学における議論
に時間を保証しない異例のアンケートなのである。
 こうした異常・異例なアンケート依頼の背景にあるのは、先に示した
ような国大協執行部の「1月政治決着路線」である。すなわち、“「さ
まざまな反応のすべてにこたえるべきではない。研究や教育の水準を高
めるようないくつもの保障を打ち出すことが必要だ」として、主要な問
題に限って早急に検討を進める”という11月18日国大協総会後の記者
会見における蓮實会長発言(『東京新聞』11月19日)に見られるよう
に、独立行政法人に対する全面的な批判を回避し、問題を限定した上で、
なおかつ若干の「緩和措置」による妥協を行うとするものである。
 だが、この路線は、9月7日の第1常置委員会中間報告が文部省に取り
込まれ、何ら現実的保証のない「特例措置」という形で9月20日の文部
省「検討の方向」の中に出現したことの繰り返しである。国大協執行部
がそれを反省せず同じ誤りを犯すとすればあまりに無責任であるし、知っ
ていて今回の「第1常置委員会アンケート」を実施するのであれば、そ
れは全国の国立大学に対する裏切りであるという謗りを免れまい。 

3.11.18蓮實会長談話にみる論理的混乱と妥協開始の合理化 

 国大協執行部による「1月政治決着路線」の基礎は蓮實会長談話(以
下、「談話」)によって表現されている。この「談話」を特徴付けるも
のは、論理的混乱と妥協開始合理化のまわりくどい表現である。
 まず論理的混乱をいくつか指摘しておこう。「設計図の不備」を指摘
することが「問題の所在を隠蔽する振る舞い」としているが、これは混
乱というより倒錯したと言うべき議論である。また、「設計図の不備に
対する肯定や否定の表明」という表現があるが、「設計図の不備に対す
る肯定」など論理的にありえない。設計図が不備であるならば、その否
定しかない。実際、「談話」でも、「設計図としての通則法の問題点が
明らかになった」と述べている。否定しているのである。しかも、これ
を理由にして、「事態は賛成反対をとなえる以前の段階にとどまってい
る」と言うに至っては、倒錯も極まれりである。「設計図の不備」が明
らかになった以上、通則法による独立行政法人化を拒否し、議論を白紙
に戻すことを要求するのが論理の帰結と言うべきである。

 だが、問題は「談話」の政治的本質にある。
 第1に、『東京新聞』11月19日付報道の見出しがいみじくも指摘し
ているように、「談話」の中心は、「国立大独法化賛否表明せず」なの
である。先に指摘した論理的混乱は、実は、この「賛否表明せず」方針
を合理化するために発生している。
 第2に、独立行政法人化を強要する文部省との妥協へのゴーサインを
含んでいることである。例えば、「設計図の不備に対する肯定や否定の
表明など、二義的な意味しか持ちえない」として、独立行政法人化の本
質的議論を避け、誰もが口の上では反対しない財政環境の改善にすべ
ての議論を流し込もうとしている。その上で、賛否を表明しないで、「文部
省をはじめ関係省庁等との真摯な意見交換が行われねばならないのは
当然」とすることによって、国大協としての反対態度を事実上棚上げし、
文部省との妥協をはかることを合理化しているのである。 

4.「第1常置委員会アンケート」による「1月政治決着」路線の準備を
拒否すべきである 

 国立大学の独立行政法人化を危惧する声は、かってない規模で拡がっ
ている。全国の大学教職員組合をはじめ、32大学理学部長会議の声明、
教官有志や教授会での声明・決議も幾多にのぼる。また、吉川学術会議
会長や、学長クラスでも数人の方々が公式に危惧を表明している。今、
「第1常置委員会アンケート」に答えることは、こうした広範な疑念の
声を無視し、文部省の用意する条件闘争へと落ち込むことに他ならない。
結局、大学を基本的に通則法が貫徹する下に押し込めることを意味する。
文部省の企図する「特例措置」すらその実現の保証は全くない。
 国立大学の独立行政法人化は、通則法の下での中期目標ー中期計画ー
評価ー措置と改廃勧告、文部科学大臣による学長任命、学長による教職
員の任命、企業会計原則による財務運営というシステム自体が、大学の
学問研究と高等教育に致命的な打撃を与え、国立大学のみならず公私立
大学を含めた日本の大学制度全体の根本的転換と再編を強力に促し、減
量化と効率化の推進によって、とりわけ地方にある諸大学の存立を危う
くし、地方分権と高等教育の機会均等を揺るがす。日本社会の今後に大
きく影響する。
 先の「談話」でも、高等教育総体の変革について、「そのための設計
図はいまだ描かれてさえおらず、真の問題は、まさにそこにある」と述
べている。ならば、国大協執行部のなすべきことは、国立大学の独立行政
法人化の問題点を指摘し、これへの反対を表明し、国立大学制度の社会
的意義を積極的に開陳し、然る上で、大学の変革の議論を提起することで
ある。このための国民的な議論を起こすべくあらゆる行動をとることである。
 大学は、己の存立が問われている今、自らの心底からの声を発しなけ
ればならない。その声が人々の耳を傾けさせ、心に届く時、理不尽極ま
りない独立行政法人化を打破することができるであろう。
 国大協が、「その社会的、国際的な役割にふさわしい真の変革の実現
を強く望んでいる」(「談話」)ならば、もはや崩壊した9.20文部省案
に助け舟を出すような「1月政治決着路線」をとるべきではない。 

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【資料】首都圏ネットワークの国大協総会への要望書
国立大学協会総会出席者各位

                        国立大学協会総会への要望書

                                        1999年11月17日
                                       独立行政法人反対首都圏ネットワーク事
務
局

 今回の国立大学協会(国大協)総会は、日本社会における大学の在り
方を根底的に覆す独立行政法人化案が去る9月20日に正式に文部省より
提出されてから初めての総会です。国立大学の総結集体である国大協が、
大学の歴史的使命を守り発展させる観点から、今日の危機に対して果敢
に対処するために、今回の総会が以下の行動をとられることを要望する
ものであります。

1.9.20文部省案ならびに同日の有馬文相挨拶は、我々が指摘したとお
り欺瞞に満ちたものであることが、その後の各地区学長会議での文部省
自身の報告ならびに行革推進本部や政府等の動向で明らかになり、完全
に破綻した。国大協は、改めて国立大学の独立行政法人化に反対するこ
とを確認するとともに、文部省案拒否の態度を議決していただきたい。

2.第一常置委員会は、9.13臨時国大協総会に提出された中間報告どま
りではなく最終報告作成に取り組んで頂きたい。最終報告作成にあたっ
ては、条件闘争に落ち込まず、大学審答申のような「21世紀初め」だ
けでない、21世紀全体を見据えた国立大学の将来像を示していただき
たい。

3.いくつかの大学で個別大学の個別利益に基づく「生き残り」プラン
が独立行政法人化を睨んで検討されているという報道がある。こうした
動きは、社会のシステムとしての大学を個別大学の「生存競争」によっ
て結果的には内部から崩壊させる愚行であり、国大協の解体へとつなが
る。国大協は日本における大学システムの中軸をになっているという社
会的・歴史的責務を自覚し、システム全体を発展させる見地を堅持して
いただきたい。

4.社会における大学の在り方そのものについて、国立、公立、私立と
いう設置形態を越えて議論することが求められている。国大協はその議
論の社会的イニシアティブをとっていただきたい。その際、議論の過程
を社会全体に公開するとともに、社会からの意見を真摯に受けとめる場
を設定していただきたい。

 今回の独立行政法人問題の直接の引き金となった国家財政の危機その
ものの根底的解明がなされないまま、対症療法的な財政いじりとしての
独立行政法人化を行えば、危機はさらに進行し、社会の崩壊へとつなが
りかねません。今、危機を加速させる政策に組し、社会のシステムとし
て大学を崩壊させる道を選ぶべきではありません。知的蓄積と批判的分
析力を駆使して、今日の危機の根底を解明し、社会に成果を発信するこ
とが大学の本来の使命であることを強調しておきたいと思います。




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佐々木 敏昭
東京大学職員組合 書記長代行
Fax:03-3813-1565 Tel:03-5841-7971
E-Mail<bh5t-ssk@asahi-net.or.jp>
HP URL<http://www.asahi-net.or.jp/~bh5t-ssk/>
独行法反対首都圏ネットのページは
東職HPの中にあります
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Asao Habe